「前立腺肥大症の薬を飲んでいるけれど、あまり良くなった感じがしない」
「このままずっと薬を飲み続けるのだろうか」
このように思われる方も見えるかもしれません。前立腺肥大症では、まず薬による治療を行うことが多く、薬で症状をうまくコントロールできる方もいらっしゃいます。
一方で、薬を続けても十分な改善が得られない場合や、副作用などで治療の継続が難しい場合もあります。また、比較的若い年代では、今後長期間にわたって薬を続ける可能性も考えて治療方法を選ぶことが大切です。
この記事では、前立腺肥大症の薬で十分な効果が得られないときに考えたいことや、手術を検討するタイミングについて、泌尿器科医が解説します。
◎前立腺肥大症では薬による治療が基本になります
前立腺肥大症では、症状の程度や前立腺の大きさ、残尿量などを確認し、その方の状態に合わせて治療方法を選択します。
治療が必要な場合には、まず薬による治療を行うことが一般的です。尿を出しやすくする薬や、前立腺を小さくすることを目的とした薬などがあり、症状や前立腺の状態に応じて使用します。
前立腺肥大症の症状や検査、治療全体については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶ 「前立腺肥大症とは?症状・検査・治療を泌尿器科医が解説」を詳しく見る
◎「薬が効かない」と感じたときに考えたいこと
薬を飲んでいても症状が改善しない場合、いくつかの理由が考えられます。
薬の種類によって効果が現れるまでの期間は異なりますし、症状や前立腺の状態によっては、薬の変更や追加で改善することもあります。
また、頻尿や尿意切迫感などの症状には、前立腺肥大症以外の原因が関係している場合もあります。そのため、症状が十分に改善しない場合には、同じ薬を漫然と続けるのではなく、現在の症状や前立腺・膀胱の状態を改めて確認することが大切です。
◎前立腺肥大症の薬はずっと飲み続けるの?
前立腺肥大症の薬は、症状や前立腺の状態をコントロールするために、長期間の服用が必要になることがあります。
薬によって症状が改善していても、服用を中止すると再び尿が出にくくなるなど、症状が戻ってくることがあります。 そのため、症状が良くなったからといって自己判断で薬を中止せず、治療を続けるかどうかは医師と相談することが大切です。
一方で、薬で症状がうまくコントロールできており、副作用などの問題もなければ、そのまま治療を継続することも一つの選択肢です。
薬を飲み始めたからといって、ずっと同じ治療を続けなければならないわけではありません。 症状の変化や治療効果を確認しながら、薬の変更や手術を含め、その時点で適した治療方法を考えていきます。
◎薬で改善しない場合は手術を考えた方がいい?
薬で症状が十分に改善しないからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。まずは薬の種類や組み合わせが適切か、症状の原因が本当に前立腺肥大症によるものなのかを確認します。
特に、頻尿や急に強い尿意を感じる「尿意切迫感」などは、前立腺肥大症だけでなく、過活動膀胱など膀胱側の問題が関係していることもあります。
前立腺肥大症の手術によってこうした症状が改善することもありますが、尿の通りが良くなっても頻尿や尿意切迫感が残る場合があります。そのため、薬で症状が改善しない場合には、現在困っている症状の原因を確認し、手術によってどのような改善が期待できるのかを考えることが大切です。
そのうえで、薬を調整しても症状が十分に改善せず、日常生活への影響が続いている場合には、手術も治療の選択肢になります。
・尿閉などを繰り返す場合
尿がまったく出なくなる「尿閉」を繰り返す場合には、手術を検討することがあります。
また、前立腺肥大症に伴って尿路感染症、血尿、膀胱結石などを合併している場合にも、症状や前立腺の状態に応じて手術が必要になることがあります。
・症状が生活に影響している場合
尿が出にくい、排尿に時間がかかる、頻尿などの症状が続き、日常生活への影響が大きいことも治療方法を考えるうえで重要です。
検査結果だけで手術を決めるのではなく、症状の程度や生活への影響、これまでの治療効果などを含めて判断します。
◎若い年代では長期的な治療について考えることも大切です
比較的若い年代で前立腺肥大症の治療を始めた場合、その後長期間にわたって薬を服用する可能性があります。
薬で症状が十分に改善しているのであれば、薬物治療を継続することはもちろん選択肢の一つです。一方で、症状が十分に改善していない場合や、今後長く薬を続けることに負担を感じる場合には、手術を含めたほかの治療方法について早い段階から相談するという考え方もあります。
治療の順番を一律に決めるのではなく、年齢や症状、前立腺の状態、今後の治療期間、患者さん自身の希望などを踏まえて検討することが大切です。
◎前立腺肥大症の手術にもさまざまな選択肢があります
前立腺肥大症の手術には、肥大した前立腺組織を切除するTURP(経尿道的前立腺切除術)や、レーザーを用いて前立腺組織を核出するHoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)、レーザーで前立腺組織を蒸散させる治療などもあります。
近年では、水蒸気の熱エネルギーを利用するWAVE(経尿道的水蒸気治療)など、体への負担を抑えた低侵襲治療も選択できるようになっています。
どの治療が適しているかは、前立腺の大きさや形、症状、年齢、持病、患者さんの希望などによって異なります。
▶ 「前立腺肥大症の手術|TURP・HoLEP・WAVEの違い」を詳しく見る
◎当院では日帰りWAVE治療を行っています
当院では、前立腺肥大症に対してWAVE(経尿道的水蒸気治療)による日帰り手術を行っています。
WAVE治療の特徴や従来の手術との違い、当院での日帰り手術については、以下のページで詳しくご紹介しています。
◎薬を続ける以外の選択肢についても相談できます
前立腺肥大症は、薬で症状をうまくコントロールできる方がいる一方で、薬を続けても十分に改善しない方もいます。
「薬を飲んでいるけれど症状が変わらない」「このまま薬を続けてよいのか気になる」という場合には、現在の状態を一度見直し、薬の変更や手術を含めて今後の治療方法を検討することが大切です。
薬を続けるか、ほかの治療を考えるかは一人ひとり異なります。 気になることがあれば、泌尿器科でご相談ください。
参考文献
- 日本泌尿器科学会 編.男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン2017(2023年修正・追加)
- 日本泌尿器科学会・日本排尿機能学会・日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会.経尿道的水蒸気治療に関する適正使用指針(第2版).2026年